嗅覚脱失につき後遺障害等級12級12号を類推し,併せて抗てんかん剤を継続的に投与されている被害者につき,併合して後遺障害等級11級程度に該当することを認めた事例(H10.5.21水戸地判)

2021-08-02

被害者は本件障害により嗅覚を脱失したが,これは後遺障害等級別表12級12号を類推し,同級に該当するものと認めるのが相当である。そして,被害者には外傷性脳波異常がみられ,てんかんへの移行防止のため抗てんかん剤が継続的に投与され,経過観察中である。てんかん発症の懸念が続く限り,ある程度従事する職業が制約されると考えられるので,嗅覚脱失と併合して後遺障害等級11級程度に該当すると認めるのが相当である(ただし,てんかん症に移行し,精神障害が生じた場合は別問題であろう)。さらに被害者には,本件障害により後頭部に大きさ約2.7cmX約1.5cmの頭髪欠損が存するが,労働能力に影響は認められない(慰謝料の算定に当たり斟酌するのは別問題である)。