<弁護士交通事故裁判例>パン屋個人営業の被害者の休業損害算定につき、役員報酬の月¥500,000は全額労務提供の対価としてみるべきとして、基礎月収を月額¥500,000とし症状固定時まで100%の労働能力を喪失したと認めた事例

2018-07-27

生活態様:S61頃から個人営業のパン屋を営んでいたが、H6.9.9、、同所に
     おいてパン・菓子の製造販売等を目的とする有限会社を設立して自らが代表
     取締役、被害者の妻が取締役となって、以後は常時パート従業員12,3名
     を雇い、会社組織でパンの製造販売を行ってきた。被害者は個人営業の時代
     から会社組織とした後も、一貫してパン製造職人として働いてきた者であり
     妻やパート従業員に補助的作業をさせることはあっても、熟練を要するパン
     の製造工程の中心的部分については専ら一人で担当してきた反面、会社の
     経理面に関しては妻および税理士に任せきりにしていた。

算定基礎:月額¥500,000
   
     事故当時被害者が役員報酬として得ていた月額¥500,000の収入は、
     利益配分としての性格をもつものとは言えず、全額これを労務提供の対価と
     見るのが相当というべきである。
     家賃収入として申告していた月額¥300,000の収入については、労務
     提供の対価とみることは困難であるといわざるを得ない。
 
休業日数:19か月
     
     被害者の障害の程度や会社において本件事故以前に被害者が担当していた
     労務内容、本件事故以後の業務への関心の程度、会社において本件事故後、
     売上総利益が明らかに減少する反面、営業損失が増加していること等に照ら
     せば、症状固定時までの19か月間、100%労働能力を喪失したものと
     して算定するのが相当である。

認容額 :¥9,500,000
     
      (大阪地裁 平成12年9月7日判決)