<弁護士交通事故裁判例>将来介護費を日額4000円で平均余命まで認めた事例

2016-11-08

 被害者は,身体的な機能については特段支障はなく,身体的な介護をする必要性は認められない。しかし,高次脳機能障害により,人格変化が生じているため,日常生活をする上でも,見守りをする必要がある。介護の主たる内容は,自発性の低下した被害者に対し,入浴等の日常的に必要な行為のほぼ全般にわたって,それを必要な時ごとに促すことと,人格変化のために話がくどくなった被害者の話を聞いてやることなどであり,身体的な負担はあまりないことであるが,被害者の妻にとって精神的には相当な負担になるものと認められる。妻の年齢と持病があること等からすれば,週2回デイサービスの施設に通所するようになり,妻の負担が軽くなったこと,介護保険によってもっとデイサービスを受けることも可能であることを考慮しても,被害者の症状固定時からの平均余命20年にわたって,看視,見守りの介護料として日額4000円を認めウのが相当である。

(名古屋地裁平成23年9月16日判決)