<弁護士交通事故裁判例>義足の美観目的の費用も財産的損害として認めた事例

2017-02-07

義足等:145万3060円 (請求額 145万3060万)
障害を有する者にとって義足等がその外観を含めて実際上果たす機能を前提にすると、美的目的の費用(71万6248円)といえども、これを単に心の問題を解決するための費用として慰謝料の対象とするというよりも、直接的に、不法行為前の状態と不法行為後の現状の状態との差を回復するための必要最少限の費用として財産的損害に含まれるというべきである。

将来の義足費用:1919万9200円 (請求額 1202万6601円)
被害者については少なくとも3年に1度の頻度で義足の交換を要し、そのための費用の支出が必要になるものと認めるのが相当である。被害者は、症状固定時、満34歳で平均余命までに少なくとも16回義足を交換する必要がある。義足については、技術の発達による製作コスト減少の可能性を考慮に入れても、その価格ないし交換費用は、今後、増大する蓋然性が相当高度であり、交換の頻度が上記認定の頻度を上回る可能性も相当程度見込まれる。義足交換費用は、現時点においても確実に出費が見込まれる費用であり、積極損害の範疇にあると考えられ、現在から将来の支出時点までの間の中間利息を控除することなく認めるのが相当である。

(福岡高裁平成17年8月9日判決)