<弁護士交通事故裁判例>自宅改造費として1088万2648円を認めた事例

2017-03-24

被害者は、日常生活全般にわたって全介護の状態にあったから、被害者の介護のために必要な設備を設置することを目的として自宅を改造する必要があることは明らかである。しかるに、被害者宅の改造工事の内容は、車椅子による生活を可能にするための工事、被害者に四肢体感麻痺の障害があり体温調節ができないことから行った工事、被害者のリハビリ用品を設置するための工事、被害者の介護のために訪問してくる訪問介護士らの作業を容易にするための工事であって、いずれも、必要合理的な内容ということができる。そして、その改造のために必要とされている費用に関しても、無用に高額であることを窺わせる事情も見当たらないことからすると、改造費用の全額が相当な損害と認められている(これらの工事により被害者の家族が利益を得ているといえるものも見当たらない。)。そして、被害者の死亡後、介護のための設備やウッドデッキと同様に、昇降機およびリハビリ用具を撤退することに伴い必要となった庭や家屋の原状回復費用も本件事故によって生じた損害ということができる。

(東京地裁平成22年2月12日判決)