<弁護士交通事故裁判例>葬儀費用について120万円を認めた事例

2017-04-19

被害者側において、請求原因記載のとおりの葬儀費用、墓地代および仏壇費用の支出した事実について自白が成立しているとしても、その損害が本件事故と相当因果関係のある損害であるか否かについては、自白の対象とはならず、裁判所の事由心証に基づく判断に委ねられるべきものと解される。被害者側の支出した葬儀費用には、本来の葬儀費用の外に接待飲食費等が多く含まれていることなどが認められること、また、通常は、香典収入などがあるために、実際の被害者側の負担額は被害者側主張の額にはならないと考えられるところ、さらには、葬儀費用は、いずれにせよ支出は避けがたいものであり、現実の損害としてはその支出が早まったことによる損害以外には考えにくく、また、葬儀費用は人によりその支出額がまちまちであるので、現実の支出額全額を損害と認めたときには、他の事案との不公平が生ずることなどを考慮すると、被害者側が葬儀費用として支出した200万円のうち120万円の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

(東京地裁平成14年9月5日判決)