<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の請求を否定する理由はないとした事例

2017-06-22

本件被害者の損害に対しては,保険会社により人身傷害条項に基づき保険金が支払われているのであるが,上記保険金は,被害者が被る損害の元本を填補するものであり,損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではないと解される。そうであれば,上記保険金を支払った保険会社は,その支払時に,上記保険金に相当する額の保険金請求権者の加害者に対する損害金元本の支払請求を代位取得するものであって,損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権を代位取得するものではないというべきである。なお,被害者側の固有の損害の賠償債務は,本件事故時に発生し,かつ,何らの催告を要することなく,遅滞に陥ったものであるから,被害者側の固有の損害金元本に対する本件事故日から本件保険金支払日までの遅延損害金の支払請求が拒否される理由はない。
※本件は,加害者側に対する損害賠償請求訴訟

(最高裁平成24年2月20日判決)