<弁護士交通事故裁判例>将来の入院費を平均余命にわたり認めた事例

2016-12-22

被害者は、本件事故による慢性硬膜下水腫のため、高次脳機能障害の後遺障害を負ったところ、見当識が著しく障害されており、注意障害や徘徊が認められ、閉鎖病棟による管理を要する状況にあることが認められる。被害者については、症状固定後もなお入院の必要性・相当性があるものと認められ、個室によることもやむを得なかったものと認められる。証拠および弁論の全趣旨によれば、症状固定後の平成25年7月までは、国民健康保険限度額適用認定証により自己負担額の減額を受け、1か月当たりの入院費の負担は12万と見込まれること、平成22年8月以降、1年ごとに認定証の申請を行ってその交付を受けており、70歳までは交付を受けられる蓋然性があること、70歳以降も、国民健康保険法または高齢者の医療の確保に関する法律における同様の限度制度に基づき、上記認定証と同様の自己負担額の減額を受けられる蓋然性があることが認められる。被害者の将来入院費は、1か月当たり12万円を基礎として、症状固定時62歳男子の平均余命21年間にわたり要するものと認められる。

(東京地裁平成25年8月6日判決)