<弁護士交通事故裁判例>会社役員の休業損害につき受領金額から利益供与分を控除した残額を労務の対価として算定基礎にした事例
生活態様:医療機器販売会社の代表取締役
算定基礎:¥6,774,400(年額)、¥34,794(日額)
被害者は、本件事故当時、役員報酬としてY商会から月額¥1,700,000
(年額¥20,400,000)を受領していたが、本件事故後、H6.3から
H6.8までの間無報酬となり、H6.9からH7.2までの間役員報酬が¥
1,000,000となったことが認められる。しかし、Y商会が本件事故で
負傷した被害者の稼働困難による経常損失を計上した第15期(H6.4.1
からH7.3.31まで)においてもなお被害者に¥7,700,000の役員
報酬を与えていることを考慮すると、同報酬額相当額は被害者に対する利益供与
と評価することができ、被害者の役員報酬中労務の対価と評価することができる
のは、これを控除した残額、すなわち年収¥12,700,000であり、これ
をもって、稼働すれば得たであろう利益を算定するための基礎収入とするのが
合理的である。
被害者は入院期間中にも現に取引先と交渉したり営業担当者との意思疎通を図っ
ていたので、同期間中(144日)は80%の休業の実態とその必要があったも
のとして、その余の通院期間中(266日)は40%のそれがあったものとして
算定するのが相当である。
休業日数:入院期間である144日と通院期間である226日の合計370日
認容額 :¥7,153,646
(東京地裁 平成13年5月30日判決)