交通事故の慰謝料相場と基準について
交通事故における慰謝料の内容とは?
慰謝料とは、被害者の精神的・肉体的苦痛に対し加害者が支払う賠償のことです。
賠償をするということはすなわち、加害者が被害者に対し金銭を支払うことで行います。
交通事故における賠償の内容は
①治療に要した費用
②入院のためにかかった費用
③けがや入院によって働くことができなかった分の収入
④被害者に後遺症が残ったり死亡した場合の賠償
⑤入院や通院をすることになったことへの賠償
などが含まれます。
このうち、⑤入院や通院をすることになったことへの賠償とは精神的な苦痛のことを意味します。
しかし、この精神的苦痛を具体的な金額として算定するのは非常に難しいのです。
精神的苦痛の額を決定するには3つの基準が存在します。
精神的苦痛に対する賠償額を算定するために、ある程度の目安となる3つの基準があります。
それが、(ⅰ)自賠責保険基準、(ⅱ)任意保険基準、(ⅲ)裁判基準です。
(ⅰ)自賠責保険基準とは
自賠責保険とは、交通事故による被害者を救済するために車を持つ人全てが加入しなければならない保険のことです。
自賠責保険は被害者の損害の全てを補償するためのものではなく、基本的に加害者が支払わなくてはならない損害の補償を目的としています。
そのため、自賠責保険による基準は最低限の補償基準であり、その他2つの基準と比べても一番低い基準となっています。
たとえば事故によりけがを負った場合は、「実治療日数(治療にかかった日数)×1日あたり4,200円」の計算になります。
ここでさらに後遺症が残ってしまった場合には、障害の重さによって慰謝料額が変動します。
(ⅱ)任意保険基準
任意保険とは、法律で加入が義務付けられていない保険のことです。
自賠責保険だけでは補償できない損害に備えるための保険で、一般には「自動車保険」といわれています。
任意保険の基準は自賠責保険基準よりも高い基準であるとされています。
しかし保険会社がそれぞれに基準を作っており、さらにその基準は公開されていないため、明確な相場はわかりません。
(ⅲ)裁判基準
弁護士会や裁判所などが妥当な慰謝料額を分析した結果、妥当と思われる基準を公表しているものです。
裁判基準はこれまで争われてきた裁判例をもとにしているため、客観的であるだけでなく公正な基準となっています。
また、自賠責保険基準と任意保険基準よりも高い基準になっています。
以上から裁判基準が最も高い基準であり、この基準を使って慰謝料の交渉をすることで、より高額でより妥当な額の慰謝料を得ることができることがわかります。
自分で交渉するよりも弁護士へ相談した方が良い理由
さて、裁判基準を用いて交渉するとはいっても、相手方は交通事故に関する交渉の経験豊富な保険会社です。
納得のいく結果を得るためには、裁判基準を用いるだけではなく法的知識や客観性・妥当性を裏付けるための証拠資料などを準備しなければなりません。
その点、弁護士は法律のプロであるだけではなく、迅速に必要な資料を揃え、書類を作成するほか、豊富な交渉経験をもとに相手方保険会社と交渉を行います。
これにより、慰謝料額が相手方保険会社に提示された額よりも格段に上がる可能性が非常に高くなるのです。
もし、相手方から提示されてきた慰謝料額に納得がいかなかったり疑問をお持ちであれば、弁護士へお気軽にご相談ください。