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<弁護士交通事故裁判例>渡航費用を損害として認めた事例
被害者は,本件事故により帰国を余儀なくされたが,通院および示談ないし法的手続の相談のため居住先であるバンクーバー市と日本の間を3往復したが,この往復の渡航運賃は,どんなに少なく見積もっても60万円(片道1回10万円)を下らない旨主張する。しかし,通院治療の経過に照らして,被害者が一旦カナダへ帰国する費用と,再度日本とカナダを往復する費用の限度で相当因果関係を認めることができる(これを超える部分については認められない。)。よって,損害額は30万円(10万円×3回)となる。
(東京地裁平成17年3月15日判決)
<弁護士交通事故裁判例>引越しによる賃料差額を損害と認めた事例
被害者は,平成11年3月当時,頸部痛,両上肢のしびれの増悪によりめまいが出現するなどし,物の運搬等のための補助具の使用の必要性等から,従前居住していた2階のアパート(賃料1か月:1万7000円)から1階のアパート(賃料1か月3万7000円)に引越しをしたことが認められる。被害者は,大学に復学した3年時から卒業までの2年間の賃料の差額合計48万円(2万×12か月×2年)を損害として主張するところ,被害者は,従前より高い賃料アパート(従前は4畳半1室で,新たなアパートは6畳1室)により,その利益も享受していること,他方で,新たなアパートの賃料も比較的低額である上,被害者は6社に見積りをしてもらい最も安いアパートを賃借していたことなどを考慮すると,上記差額の7割である33万6000円を本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。
(東京地裁平成16年12月21日判決)
<弁護士交通事故裁判例>逸失利益の定期金賠償請求が認められなかった事例
逸失利益について定期金賠償を求めることの可否
本件において原告が請求している逸失利益は,被害者が本件事故に遭わなければ将来得たであろう収入を得ることができなかったことによる損害を,被害者の相続人である原告が相続したというものであるところ,この損害は,被害者の死亡時に被害者に発生し,その額も確定し具体化しているのであって,それを原告が相続したというにすぎず,後遺障害の逸失利益や将来の介護費用のように,将来に具体化し,その額が変動する性質のものではなく,事情変更に対応するという定期金賠償に本来期待されている効用もない。そして,被害者の逸失利益につき,被害者が大学院を卒業してから67歳まで大学卒の男子労働者の平均賃金を毎年得られるものと推定し,その額から中間利息を控除して損害額を算定しているが,これは,死亡時の損害を評価するに当たって,上記のように収入額を推定(擬制)し,中間利息を控除して,死亡時における現価を引き直しているにすぎず,将来発生し,具体化する損害の現価算定しているものではない。そうすると,死亡逸失利益につて定期金による賠償を認めることは,理論的整合性を欠き,その実益もなく,許されないものと解すべきである。
(大阪地裁平成16年9月27日判決)
<弁護士交通事故裁判例>代行運転派遣費用を会社の損害として認めた事例
原告会社は,医療法人との業務請負契約により,人工透析患者の送迎業務を請け負っており,被害者ほか2名で本件事故当時まで送迎業務を行っていたが,被害者は責任者の立場であったことなどの原告会社の業務態勢,被害者の業務内容及び地位等に照らすと,本件事故の直後,原告会社が代行運転手の派遣依頼を行ったのは緊急やむを得ない措置であったということができ,その必要性・相当性は肯定される。そして,原告会社と被害者は経済的な一体関係があるとは認められないものの,原告会社が支払った代行運転派遣費用は被害者の休業損害と重複しない範囲において,必要かつ相当と認められる金額について,本件事故により通常生ずべき損害として認容することができると解すべきである。本件については,被害者が運転手として一時復帰する平成13年12月25日までの費用である52万2900円の限度で損害として認容するのが相当であり,同期間の被害者の休業損害5万4000円を控除すると,本件事故と相当因果関係のある原告会社の損害額は,46万8900円となる。
(大阪地裁平成16年8月31日判決)
<弁護士交通事故裁判例>留学を取りやめた場合のキャンセル料を認めた事例
被害者の長女は,フランスの料理学校に留学する予定であったが,本件事故により被害者が死亡したことから予定を変更し,被害者の夫は,そのキャンセル料等として14万9767円を支出しした。通常人が同居する母親の交通事故による突然の死亡という事態に直面したときは,キャンセル料等を支払っても予定された留学を取りやめることは無理からぬことであり,上記のキャンセル料等は,本件事故と相当因果関係を有する損害であると認められる。
※被害者側は,逸失利益と慰謝料について違法行為の抑止機能と加害者らの反省を求めることを理由に定期金賠償を求めていたが,逸失利益と慰謝料は,確定または不確定期間に定期的に履行期が到来する債権ではないから,被害者側の請求は,全損害額が確定した債権の分割払いの請求であり,本件で,直ちに損害の一部の分割払いを認めるのは疑問が残る。また,賠償金は,現実には,保険会社が支払うことからすれば,被害者側が期待するような効果を期待できるとは考えられないので,本件において,損害の一部の分割払いを認めるのは困難であるといわざるを得ないとされた。
(名古屋地裁平成16年7月7日判決)
<弁護士交通事故裁判例>飼い犬の火葬費と慰謝料を損害として認めた事例
被害者の夫は本件事故で死亡した犬の火葬費用として2万7000円を支出したことが認められる。また,犬は被害者の夫が長年家族同然に飼っていたものであるから,その死亡による精神的な苦痛として慰謝料5万円を認めるのが相当である。これに対して,被害者の子についても父母宅で飼われていた犬の死に悲しみを覚えたであろうことは想像に難しくないが,犬の飼い主と認められないから,慰謝料は認められない。
(東京高裁平成16年2月26日判決)
<弁護士交通事故裁判例>成年後見申立費用として約22万円を認定した事例
被害者は,本件事故による後遺障害のため成年後見開始の裁判を受け,被害者の子が成年後見人に選任され,同裁判は平成13年2月6日に確定した。この手続に合計22万8840円の費用を要した。
(大阪地裁平成15年12月4日判決)
<弁護士交通事故裁判例>旅行のキャンセル料を損害と認めた事例
被害者は,同乗者とともに,平成12年8月15日からハワイに旅行に行く予定であったが,本件事故にあいこれをキャンセルして,2名分のキャンセル料10万円を支払ったところ,被害者の受傷内容や上記旅行の予定日等からすれば,これは本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。
(東京地裁平成15年9月2日判決)
<弁護士交通事故裁判例>労災保険により填補される損害は入院雑費等も含むとした事例
療養給付金と同一の性質を有する者は,純然たる治療費のみならず,これに準ずる入院雑費および入院付添費(それぞれ症状固定後も含む),通院交通費,介護のための自宅改造費等も含むと解されるから,療養給費金によって填補される損害額は,上記治療費,入院雑費,通院交通費,症状固定後の付添看護費,自宅改造費,医療器具等の合計4926万7851円であり,これから,療養給付金1530万9277円を差し引いた残額は,3395万8574円となる。
(大阪地裁平成14年10月4日判決)
<弁護士交通事故裁判例>右上肢を失った被害者の家電製品購入を認めた事例
家電製品の購入費:25万円
被害者の後遺障害の内容からすれば,家事労働に乾燥機付き洗濯機と食器洗い機は必要であるものと認められ,被害者はその価額を立証しないが,上記金額を相当と認める。