その他の後遺症について
むちうち、RSD・カウザルギー、醜状痕、脊椎損傷、高次脳機能障害以外の症状以外にも、以下のような症状が賠償されるべき後遺症(後遺障害)と認められる可能性があります。
遷延性意識障害
遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とは、植物状態とも言われる症状のことを言います。
日本脳神経外科学会によれば
①自力で移動ができない
②自力で食事することができない
③排泄をコントロールできない
④眼球を動かすことができるが、認識はできていない
⑤簡単な命令にはかろうじて応じることもあるが、ほとんど意思疎通はできない
⑥声を出すことはできるが、意味のある発語が全くできない
という状態が治療しても3か月以上続いた場合に認められます。
遷延性意識障害が後遺障害として認められると、介護を要する後遺障害1級に相当します。
慢性硬膜下血腫
事故の衝撃により、脳を覆う一番外側の膜である「硬膜」と頭蓋骨との間に血液が貯まってしまい、その血液が固まった血腫が脳を圧迫するのが「硬膜下血腫」の症状です。
特に事故でけがを負ってから3日より後に頭痛や吐き気、体の麻痺、記憶力の低下や人格の変化などの症状が徐々に表れるものが「慢性硬膜下血腫」と言われます。
慢性硬膜下血腫は事故直後に検査をしても見つかりにくいため、発見が遅れると脳に深刻なダメージを与えます。
その結果「記憶障害」や「失語症」という後遺症が残ってしまうことがあります。症状次第では後遺障害であると認められる可能性が十分にあります。
膀胱直腸障害
交通事故により脊髄が損傷され、排泄についての脳の信号がうまく伝達されなかったり、肛門括約筋をコントロールできなくなり、失禁をしてしまったり残尿感が残るなど、排泄に異常をきたす症状のことです。
膀胱直腸障害が厄介なのは、交通事故直後に症状が表れるわけではなく、果たして交通事故が原因といえるのかの立証が困難であるところです。
また、後遺障害に認定されるとしても何級に相当するのかは症状の重さによって幅広く認定されています。
具体的に何級に相当するかは弁護士など専門家へご相談いただく必要があります。
低髄液圧症候群
脳脊髄液が減少することにより、頭痛やめまい、首の痛み、耳鳴り、視覚障害などの症状が表れるもので、立ち上がるとさらに悪化するという特徴を持っています。
低髄液圧症候群は未だに解明できていない部分が多い症状であることと、むちうちの症状に似ているため、なかなか判明しづらい後遺症です。
後遺障害と認定されるのも難しいですが、十分に精密検査をすることと、MRIやCTといった画像による立証ができれば、加害者に賠償してもらう可能性は十分にある後遺症です。