後遺障害逸失利益の算定において事故日から症状固定日までの中間利息を控除すべきであるとする加害者側の主張を採用しなかった事例(H15.1.27大阪地判)
2021-11-15
加害者側保険会社は遅延損害金の発生する事故日から症状固定日までの中間利息の控除を主張するが,中間利息控除と遅延損害金の発生とは必ずしも厳密な論理的な関連性はないこと,遅延損害金が単利式で計算されるのに中間利息控除は複利式で計算されること,保険会社側の主張によれば,事故日においては被害者は利殖に回すことができないにもかかわらずその中間利息を控除される結果となるので,被害者に不利益を及ぼすことになること,治療費等の積極損害については実務上中間利息控除を行わないことと均衡を失すること,実際には運用の必ずしも容易ではない複利を基準としたライプニッツ係数を用いて中間利息控除を行うため,後遺障害逸失利益の基準時の点については若干被害者救済の観点を加味した取扱いを行うことも理論的な整合性を欠くことのない限り許容されると思料されることなどを考えると,加害者側の主張は採用できない。