<弁護士交通事故裁判例>将来の脳障害治療費を否定した事例

2016-08-31

 被害者は,本件事故による頭部打撲の結果脳波異常の障害を被り,痙攣発作の治療の可能性があるため,内服薬による治療等を要する旨主張するところ,病院で被害者の脳波の検査を施行したところ,被害者の脳波には痙攣の起こる可能性のある異常所見が認められたため内服薬を投与しているが,被害者の本件交通事故以前の脳波の所見がないため,被害者の本件交通事故前後の脳波を比較することができないうえ,右脳波異常は神経学的には異常がなく,現実には一度も発作を起こしたことがないことから,専門医でも右の脳波異常が本件交通事故によって発生したものと明確に診断することはできないことが認められ,右認定を覆すに足りる証拠はない。

(東京地裁昭和60年5月31日判決)