後遺障害1級の女子小学1年生の後遺障害逸失利益算定に当たり,賃金センサスの男女計・学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入額とし,生活費控除を認めなかった事例(H28.2.25東京地判)

2021-07-27

被害者は症状固定時7歳であることから,H24賃金センサスの男女計学歴計全年齢平均賃金を基礎収入とするのが相当であることが認められる。年少者は多様な就労可能性を有することに加え,近時の男女共同参画の取組みの動向,男女間の賃金格差の推移に照らすと,現在の労働市場における男女間の賃金格差を直ちに被害者の逸失利益の算定に反映させるのは相当ではない。本件では,賃金センサス男女計学歴計全年齢平均賃金を基礎として被害者の逸失利益を算定するのが相当である。加害者らは,逸失利益の算定に当たり,生活費として2割程度控除すべきである旨の主張もするが,被害者に1級相当の後遺障害が残り,常時介護を要することを考慮しても,これにより生活費の支出を一部免れたなどということはできない。