男子の外貌醜状と歯牙障害とによる逸失利益について10%の労働能力喪失を認めた事案
2019-06-19
被害者は、10本以上の歯の補綴を受けることが将来確実であることが認められる。そこで、その評価であるが、自賠の実務は、1.現実に喪失した歯牙に対して補綴したもの、2.歯冠4分の3以上を欠損した歯牙に対して補綴したもの、3.歯科技工上、残存歯冠部分が2の状態となったものに対して補綴したものないし未補綴であっても喪失、抜歯、欠損、切除が確認できる場合に限定されているところ、歯が現実に生えてこない蓋然性が高い場合もそれらの自賠の基準と同視することができることはもちろん、歯冠に問題がなくても、歯根が著しく形成不全で、咀嚼機能が害されてるもので、将来補綴が必要不可欠な歯についても、同様に「補綴があった」に相当すると判断するべきである。また、咀嚼機能の障害は、歯牙の障害によるものであって、顎骨骨折や、下顎関節の開閉運動制限等の他の原因によるものではないので、歯牙障害において評価すれば足りる。