遷延性意識障害で寝たきりとなった事故当時女子高生(症状固定時23歳)の逸失利益を算定した事例(H19.1.31大阪地判)
2021-10-04
被害者は,遅くともH10ころには,母親や看護師の声等の外部の刺激に対し,瞬き等の動作によって一定の反応を示すようになり,H11ころ,瞬きの回数により若干の意思疎通が可能になり,H13.8.14病院において,医師からの指示に対し,相当程度,的確な反応を示したことがあった。また,栄養の摂取方法についても,H8.11から経口による栄養摂取の訓練を開始し,H10.11ころ,経管摂取から経口摂取に大幅に移行するに至り,H14.2.25の時点ではスプーンを口まで持っていける程度になった。これらの各事実からすると,被害者の症状は,前記の各治療を通じ,進退はあるものの,全体的にみればH14.2.25の時点まで僅かずつ改善したものというべきであり,本件事故後約5年が経過した同時点まで被害者の症状にかかる改善が見られたことに加え,担当医がH14.8.31に症状固定した旨の判断をしたことを併せて考慮するならば,被害者は,H14.8.31に症状固定したものと認めるのが相当である。