<弁護士交通事故裁判例>モントリオール条約の適用を認めなかった事例

2017-10-24

被害者側の民法715条に基づく損害賠償請求に対し,加害者側(航空会社)はモントリオール条約35条1項(損害賠償をする権利は,到着地への到達の日から起算して2年の期間内に訴えが提起されない場合には,消滅する。)により損賠償請求権は消滅しているとして争った事案である。本件の場合,加害者側は本件条項の規定にいう「到達の日から2年間」が平成22年2月10日であることを十分に認識しつつ,その直前の平成22年1月13日に被害者の損害額が当分確定できそうにないことを予測できたことが認められるにもかかわらず,PTSD以外の損害については支払に応じる姿勢を示したのであるから,被害者に少なくともPTSD以外の損害について将来支払に応じてもらえるとの期待を抱かせることになったことは明らかである,被害者側は,加害者側に対し,PTSDの診断書を送付し,交渉が継続中であると認識していたこと,症状固定に至っておらず交渉の方針を決定し難い状況にあったことなどが認められる。本件においては,被害者が2年間の期間内に訴えを提起しなかったことについて,本件条項を適用するのは,国際空港運送における消費者の利益の保護を国際航空運送事業の発展との間の均等を著しく失し,不合理な結論をもたらす特段の事情があるというべきであり,本件条項は適用されないと解すべきであり,被害者の損害賠償請求権は消滅したとはいえない。

(大阪地裁平成24年12月12日判決)