<弁護士交通事故裁判例>内払金について損害発生時の元本に充当した事例

2017-06-23

被害者は,治療費に関するもの以外に,本件事故による損害の填補の趣旨で合計44万950円の支払いを受けているところ,これについて損益相殺的調整を行う。このうち,文書料分4万950円は,費目が示されたものであり,被害者に立替えて支払いが行われたものと認められるから,損害の発生時に填補が行われたとするのが当事者の合理的意思に合致するというべきである。また,保険会社からの内払金40万円について,その趣旨は,具体的な損害賠償請求権の存在を必ずしも前提とせず,被害者の当面の支出を填補するための費用として支払われたと認められるところ,上記と同様に損害の発生時に同額の填補が行られたとするのが当事者の合理的意思に合致するというべきである。そうすると,上記合計44万950円について発生時の元本に充当する方法で損益相殺的調整を行うのが相当である。

(東京地裁平成26年8月27日判決)