<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金は発生するものとした事例

2017-06-15

被害者らが主張する趣旨は,無保険車傷害特約に基づく保険金の支払対象として,損害の元本のほか,これに対する不法行為の日から支払済み(平成18年7月3日)までの民法所定の年5分の割合による遅延損害金も含まれるというものであると解される。
しかしながら,無保険車傷害特約は無保険者傷害保険金の支払対象として,賠償義務者が賠償責任を負うべき交通事故と相当因果関係のある損害を挙げているが,規定が設けられていない遅延損害金は該当するものではなく,約款に定められていた損害賠償債務の履行遅滞に伴う損害として支払われるものとして別枠になっているものと考えられているから,不法行為日から遅延損害金は無保険車傷害保険金の支払対象に含まれず,約款の規定する弁済期を徒過した時点から遅延損害金が発生するものと解すべきである。
そして,被害者と保険会社との間の自動車保険普通契約約款においては,被害者が保険会社に対して損害賠償額を直接請求する場合には,損害賠償額請求書,交通事故証明書およびその他の必要書類ならびに証拠書類の提出が必要とされており,保険会社は被害者が手続きをした日からその日を含めて30日以内に損害賠償額を支払うものとされていることからすると,保険会社の保険金支払債務の弁済期は,訴状および証拠書類の写しが保険会社に送付されたことが記録上明らかな日から該当日を含めて30日目に当たる平成18年11月9日に到来すると認めるのが相当である。

(東京地裁平成21年2月26日判決)