<弁護士交通事故裁判例>留学を取りやめた場合のキャンセル料を認めた事例

2017-07-26

被害者の長女は,フランスの料理学校に留学する予定であったが,本件事故により被害者が死亡したことから予定を変更し,被害者の夫は,そのキャンセル料等として14万9767円を支出しした。通常人が同居する母親の交通事故による突然の死亡という事態に直面したときは,キャンセル料等を支払っても予定された留学を取りやめることは無理からぬことであり,上記のキャンセル料等は,本件事故と相当因果関係を有する損害であると認められる。
※被害者側は,逸失利益と慰謝料について違法行為の抑止機能と加害者らの反省を求めることを理由に定期金賠償を求めていたが,逸失利益と慰謝料は,確定または不確定期間に定期的に履行期が到来する債権ではないから,被害者側の請求は,全損害額が確定した債権の分割払いの請求であり,本件で,直ちに損害の一部の分割払いを認めるのは疑問が残る。また,賠償金は,現実には,保険会社が支払うことからすれば,被害者側が期待するような効果を期待できるとは考えられないので,本件において,損害の一部の分割払いを認めるのは困難であるといわざるを得ないとされた。

(名古屋地裁平成16年7月7日判決)