<弁護士交通事故裁判例>逸失利益の定期金賠償請求が認められなかった事例
2017-07-27
逸失利益について定期金賠償を求めることの可否
本件において原告が請求している逸失利益は,被害者が本件事故に遭わなければ将来得たであろう収入を得ることができなかったことによる損害を,被害者の相続人である原告が相続したというものであるところ,この損害は,被害者の死亡時に被害者に発生し,その額も確定し具体化しているのであって,それを原告が相続したというにすぎず,後遺障害の逸失利益や将来の介護費用のように,将来に具体化し,その額が変動する性質のものではなく,事情変更に対応するという定期金賠償に本来期待されている効用もない。そして,被害者の逸失利益につき,被害者が大学院を卒業してから67歳まで大学卒の男子労働者の平均賃金を毎年得られるものと推定し,その額から中間利息を控除して損害額を算定しているが,これは,死亡時の損害を評価するに当たって,上記のように収入額を推定(擬制)し,中間利息を控除して,死亡時における現価を引き直しているにすぎず,将来発生し,具体化する損害の現価算定しているものではない。そうすると,死亡逸失利益につて定期金による賠償を認めることは,理論的整合性を欠き,その実益もなく,許されないものと解すべきである。
(大阪地裁平成16年9月27日判決)
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