骨盤骨変形は労働能力に影響しないという形式的理由だけで労働能力喪失率を引き下げるのは相当ではないとした事例(H10.7.17神戸地判)
2021-12-27
加害者らは,骨盤骨変形は労働能力に影響しないから労働能力喪失率は79%を上回らない旨主張するが,長時間の立位作業は不可能であり,足の震えにより1人でバス,電車に乗ることができず,上肢には,運動失調症状が強く残存しており実用性に欠けるなどの症状に鑑みれば,骨盤骨変形であるという形式的理由だけで労働能力喪失率を通常より引き下げるのは相当ではない。被害者の症状の改善は,いわば日常生活能力の改善とは評価できても,いまだ労働能力という面での改善には至っていないというべきである。