<弁護士交通事故裁判例>症状固定後の治療費として3000万円を認めた事例

2016-12-13

本件事故による被害者の後遺障害は、高位頸髄損傷等の重篤で、かつ、呼吸器系統に重大な障害を残すものであり、症状固定後もその状態を維持するために在宅治療を要し、その在宅治療として、少なくとも、週1回は医師の診察が必要であり、週2回は理学療法士のリハビリテーションが必要である。そして、少なくとも、週1回の医師の診察については、1か月16万円、週2回の理学療法士のリハビリテーションについては、1か月4万円の費用を要すると認めるのが相当である。また、被害者は症状固定時33歳の男性であり、平均余命は46年間であることが認められる。そこで、ライプニッツ係数により年5分の割合の中間利息を控除して将来治療費を算定すると、4291万2000円となるところ、長期的には不確実の面が否定できないこと等に鑑み、同金額の約70%に当たる3000万円をもって本件事故と相当因果関係のある症状固定後の治療費と認めるのが相当である。

(名古屋地裁平成17年5月17日判決)