Archive for the ‘未分類’ Category
併合8級の症状固定時24歳男子の逸失利益について,賃金センサス男子労働者学歴計全年齢平均賃金を基礎として労働能力喪失率45%で67歳まで認めた事例(H24.9.28東京地判)
嗅覚障害で12級,高次脳機能障害で9級10号,併合8級の認定を受けた。被害者が現在従事している仕事は飲食店でのアルバイトであるところ,嗅覚障害のため食品の腐敗の有無や焦げ具合等が分かりにくいことなどにより,飲食店で従事できる仕事に制限が生じていることが認められる。
7級の20歳女子大学生の逸失利益を労働能力喪失率20%で67歳まで認めた事例(H22.12.8名古屋地判)
被害者は,化粧品販売等の美容関係の仕事に就きたい希望を持っており,外貌に重きが置かれる職業であり,外貌醜状により就職あるいは就職後に昇給進で不利益を受ける蓋然性があり,また,美容関係の仕事以外に就いたとしても,職場の人や客との接触に消極的になって不利益を受けたり,転職の際に不利益を受ける蓋然性はあり,労働能力の喪失を認めるのが相当である。その喪失率は,7級の56%をそのまま認めることはできないが,20%を認めるのが相当である。
後遺障害逸失利益の算定において事故日から症状固定日までの中間利息を控除すべきであるとする加害者側の主張を採用しなかった事例(H15.1.27大阪地判)
加害者側保険会社は遅延損害金の発生する事故日から症状固定日までの中間利息の控除を主張するが,中間利息控除と遅延損害金の発生とは必ずしも厳密な論理的な関連性はないこと,遅延損害金が単利式で計算されるのに中間利息控除は複利式で計算されること,保険会社側の主張によれば,事故日においては被害者は利殖に回すことができないにもかかわらずその中間利息を控除される結果となるので,被害者に不利益を及ぼすことになること,治療費等の積極損害については実務上中間利息控除を行わないことと均衡を失すること,実際には運用の必ずしも容易ではない複利を基準としたライプニッツ係数を用いて中間利息控除を行うため,後遺障害逸失利益の基準時の点については若干被害者救済の観点を加味した取扱いを行うことも理論的な整合性を欠くことのない限り許容されると思料されることなどを考えると,加害者側の主張は採用できない。
後遺障害等級認定率 実績48.1%(R2.1.1~R3.10.31)
ありあけ法律事務所の令和2年1月1日から令和3年10月31日までの後遺障害等級認定率の実績は,48.1%(27件中13件)でした。
今後も,後遺障害等級について適切な認定がなされるよう努めてまいります。
医大生の後遺障害による逸失利益について14%の労働能力喪失を認めた事例(H12.10.4東京地判)
被害者の後遺障害は,現段階で収入の減少に結びついていることの証拠はない。しかし,健常状態での収入を維持するために相当の努力を用いていること,必ずしも将来において健常状態と同等の収入を得られる保証はないことから,67歳まで14%の労働能力の喪失を認めるのが相当。
併合4級の17歳女子の逸失利益について賃金センサス産業計,男女計,大学・大学院卒,全年齢平均年収を基礎収入として認めた事例(H26.1.9名古屋地判)
脳挫傷に起因する高次脳機能障害は5級2号に,頭部の手術痕は12級15号に該当し,併合4級の認定を受けた。被害者は,本件事故当時A大学付属高校で同大学への進学を見込める成績を修めていて,現に同大学に進学したことに照らすと,本件事故当時A大学またはその他の大学に進学する蓋然性があったものと認められる。
顔面醜状7級12号を含む併合6級の事故時17歳女子の逸失利益について症状固定の3年後から67歳まで喪失率12%で認めた事例(H25.1.24名古屋地判)
顔面線醜状痕は7級12号,歯牙補綴は13級4号に該当し,併合して6級に該当し,歯牙補綴の既存障害は14級2号に該当する。被害者はH20.3より化粧品販売会社の美容部員として採用され,その就職後には配置や労働条件等において特段の不利益を被ったことが窮われない。他方,被害者の後遺障害は障害にわたって残存することが見込まれるのみならず,被害者の後遺障害が就職活動に与えた影響が被害者の生涯における労働による経済的利得に波及する可能性も否定できない。
事故後高校を中退した1級の17歳男子の逸失利益を男子学歴計全年齢平均賃金をもとに認めた事例(H23.7.20大阪地判)
記銘力障害,性格変化等による1級1号と右股関節機能障害による12級7号を併せて1級1号に該当すると認められる。加害者側は,被害者が高校を中退したことを考慮すべき旨主張するが,被害者が高校を中退したのは,本件事故後であるから,考慮できる事情ではない。
遷延性意識障害で寝たきりとなった事故当時女子高生(症状固定時23歳)の逸失利益を算定した事例(H19.1.31大阪地判)
被害者は,遅くともH10ころには,母親や看護師の声等の外部の刺激に対し,瞬き等の動作によって一定の反応を示すようになり,H11ころ,瞬きの回数により若干の意思疎通が可能になり,H13.8.14病院において,医師からの指示に対し,相当程度,的確な反応を示したことがあった。また,栄養の摂取方法についても,H8.11から経口による栄養摂取の訓練を開始し,H10.11ころ,経管摂取から経口摂取に大幅に移行するに至り,H14.2.25の時点ではスプーンを口まで持っていける程度になった。これらの各事実からすると,被害者の症状は,前記の各治療を通じ,進退はあるものの,全体的にみればH14.2.25の時点まで僅かずつ改善したものというべきであり,本件事故後約5年が経過した同時点まで被害者の症状にかかる改善が見られたことに加え,担当医がH14.8.31に症状固定した旨の判断をしたことを併せて考慮するならば,被害者は,H14.8.31に症状固定したものと認めるのが相当である。
女子高校生の後遺障害による逸失利益算定に当たり女子労働者の平均賃金を基準に算出した事例(H14.11.11名古屋地判)
被害者は,義務教育を終了した高校生であり,将来の進路等につき一定程度具体化していること,また,同年代で就労している者が存在し,これらの者の不公平を招くおそれがあることからすれば,義務教育終了以前の者と同様に全労働者平均賃金を用いるべき合理性が高いと認めることはできない。他方,被害者が本件事故に遭わなければ女子労働者全年齢平均賃金を超える収入を得られた蓋然性が高いことを基礎付ける事実を認めるに足りる証拠はない。
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