<弁護士交通事故裁判例>低髄液圧症候群の治療費を損害と認めた事例

2016-09-14

 被害者の主張する治療費のうち低髄液圧症候群・脳脊髄液減少症の関係の治療費は本件事故による損害といえるかが問題とはなるが,既払いの治療費関係費があり,被害者は自らの症状を訴えてその治癒・緩和を図るために各医療機関を受診したにとどまり,被害者が各医療機関で治療を受けるという選択をしたことが相当性を欠くものとまでいうことはできないし,現実に,各医療機関においてブラッドパッチ等の治療を受けた結果,被害者の症状が徐々にではあるが改善し,頭痛等については治癒しており,治療の効果があったと評価することができるから,被害者の症状が脳脊髄液減少症といえるかどうかはともかく,その治療費等を損害として認めるのが相当である。被害者の治療期間は,被害者の症状を考えると一般の創傷治癒・症状固定の通例よりも長期にわたるものということができるが,本件事故による衝撃は軽微なものではないし,被害者が各医療機関で治療を受けたことが相当性を欠くということはできないから,相当な治療期間が本件事故発生から平成21年1月27日までとしてもそれが不合理であるとするほどに長期間にわたるものとはいえない。

(神戸地裁平成23年10月5日判決)