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<弁護士交通事故裁判例>人損のない治療費を損害と認めた事例
被害者が被害車両に同乗していたことは認められるが,同人が本件事故で受傷したり,何等かの精神症状を生じたとは認められず,人的損害が生じたとは認められない。しかし,事故に遭遇した者が,事故後に受傷がなかったことが判明した場合であっても,事故直後において事故による何らかの異常が生じていないかを検査することは社会通念上相当なものであり,特にそれが幼児・児童である場合にはなおさらその必要性は高いと認められる。したがって,このような場合における診療・検査の費用については,それが金額の大小やその算出過程,診察回数等に照らして社会通念上相当といえる範囲に収まっている限り,事故と相当因果関係のある損害として認めるのが相当である。証拠によれば,通院が行われたのは事故から2か月半後であり,事故直後と必ずしもいえるわけではなく,その意味で本件事故との相当因果関係に疑問がないわけではない。しかし,通院が1回にとどまり,費用も少額であること,被害者が当時5歳の児童であったことを考慮すると,その金額・内容が社会通念を逸脱しているとまではいえず,本件事故との因果関係を否定することはできない。
(大阪地裁平成26年8月26日判決)
<弁護士交通事故裁判例>低髄液圧症候群の治療費を損害と認めた事例
被害者の主張する治療費のうち低髄液圧症候群・脳脊髄液減少症の関係の治療費は本件事故による損害といえるかが問題とはなるが,既払いの治療費関係費があり,被害者は自らの症状を訴えてその治癒・緩和を図るために各医療機関を受診したにとどまり,被害者が各医療機関で治療を受けるという選択をしたことが相当性を欠くものとまでいうことはできないし,現実に,各医療機関においてブラッドパッチ等の治療を受けた結果,被害者の症状が徐々にではあるが改善し,頭痛等については治癒しており,治療の効果があったと評価することができるから,被害者の症状が脳脊髄液減少症といえるかどうかはともかく,その治療費等を損害として認めるのが相当である。被害者の治療期間は,被害者の症状を考えると一般の創傷治癒・症状固定の通例よりも長期にわたるものということができるが,本件事故による衝撃は軽微なものではないし,被害者が各医療機関で治療を受けたことが相当性を欠くということはできないから,相当な治療期間が本件事故発生から平成21年1月27日までとしてもそれが不合理であるとするほどに長期間にわたるものとはいえない。
(神戸地裁平成23年10月5日判決)
<弁護士交通事故裁判例>頚椎前方固定術を損害と認めた事例
主治医の見解中,被害者の第3/4頚椎の椎間板に膨隆があること,バレ・リュー症状が見られたこと,事故後約3か月間にわたり保存的療法を行っても,疼痛,悪心,嘔吐などによりほぼ寝たきりで通常の食事が摂れないことなどの深刻な症状が続き,被害者の症状は軽快しなかったこと,術後,まもなく悪心や吐き気が治まり,次第に左上下肢のしびれも軽減するなどし,それまで不可能であった通常の食事を摂ることや上体を起こし,歩行訓練をするなどができるようになったことなどは,全て関係医療記録により明確に裏付けられる。また,バレ・リュー症状につき第3/4頚椎前方固定術の適応があるとする見解が一般に認められていることも,甲号証により支持されていると認める。本件事故後,被害者に施行された第3/4頚椎前方固定術は,必要かつ相当な施術であったと認められる。
(京都地裁平成22年12月9日判決)
<弁護士交通事故裁判例>将来の入院費につき中間利息を控除しなかった事例
本来であれば,症状固定後の治療費については,その全額につき中間利息を控除する必要があるといえるが,被害者らは,これら医療費を実際に負担することを余儀なくされ,その額も多額に上っており,このような事情を考慮すれば,本件では,症状固定後の治療費であっても,実際に被害者らが負担した治療費については,中間利息を控除しないことが,むしろ,損害の衡平な分担という損害賠償法の理念にかなう。
(東京地裁平成22年3月26日判決)
<弁護士交通事故裁判例>症状固定後平均余命までの治療費を認定した事例
被害者は,その生命を維持するために平均余命の残期間入院治療を要すると認められ,将来の治療費・入院雑費・付添費は平均余命間(73年間)認められる。
(山口地裁平成4年3月19日判決)
<弁護士交通事故裁判例>症状固定後の入院関係費を余命10年認めた事例
被害者は今後も従前と同様の入院を継続する必要があり,現在特に生存に不安を感じさせる状況にはないことから,将来の差額ベッド代(1日当たり7210円)として以後10年間は生存可能としてその間認める。
(大阪地裁平成2年4月23日判決)
<弁護士交通事故裁判例>失明によるリハビリ等の生活訓練費用を認めた事例
社会復帰の訓練のための国立リハビリテーションセンターへの交通費
教材および生活用機器の購入費,点字の習得,テープレコーダー代,これらの費用は,本来の治療費ではなく,身体障害者の社会復帰のための費用ともいうべきものであるが,原告の社会復帰への訓練は医師の指示によるものであるうえ,被害者のような年齢が若く視力障害以外全身的運動機能に異常のない者であって,専門的な訓練によって社会復帰が容易であり,しかもそのことによって被害者が将来の労働能力を回復することが可能になり,加害者の賠償すべき損害額を軽減することができるような場合には,かかる費用も社会通念上事故と相当因果関係のある損害として加害者に賠償を命ずるのを相当と判断する。
(東京地裁昭和61年5月15日判決)
<弁護士交通事故裁判例>将来の脳障害治療費を否定した事例
被害者は,本件事故による頭部打撲の結果脳波異常の障害を被り,痙攣発作の治療の可能性があるため,内服薬による治療等を要する旨主張するところ,病院で被害者の脳波の検査を施行したところ,被害者の脳波には痙攣の起こる可能性のある異常所見が認められたため内服薬を投与しているが,被害者の本件交通事故以前の脳波の所見がないため,被害者の本件交通事故前後の脳波を比較することができないうえ,右脳波異常は神経学的には異常がなく,現実には一度も発作を起こしたことがないことから,専門医でも右の脳波異常が本件交通事故によって発生したものと明確に診断することはできないことが認められ,右認定を覆すに足りる証拠はない。
(東京地裁昭和60年5月31日判決)
<弁護士交通事故裁判例>通院・通勤交通費としてタクシー代を認めた事例
被害者は,通院交通費および通勤交通費として,症状固定日までに183万3670円を下回らないタクシー代を支出したこと,保険会社に領収書を提出して交通費の支出を請求し,同社は,領収書を確認のうえ上記金額の限度で被害者に支払ったことが認められる。被害者の受傷内容,治療経過等に照らせば,上記金額の限度で,症状固定時まで通院交通費および通勤交通費を本件事故による損害として認める。
(大阪地裁平成20年9月8日判決)
<弁護士交通事故裁判例>身元確認等の交通費を損害と認めた事例
父親は,身元確認および葬儀等のため,父親らの居住地の米沢市から函館市に赴き,これに伴い14万4570円の交通費および宿泊費を支払ったことが認められ,本件事故が父親らの居住地より遠隔で発生したものであることからすれば,本件事故により当然発生するものであり,かつ金額的にも本件事故と相当因果関係があるものといえる。
本件事故が,加害者の飲酒運転および危険運転により,被害者が死亡したというものであり,さらに加害者が救護義務を果たさず,逃走の上,逮捕されるまで飲酒していたという事案であったことに照らせば,父親が,被害者の父親として刑事裁判を見守り続けたいと考えるのは当然の心情であり,社会通念上相当であるといえるから,これは本件事故に伴い当然発生するものであり,かつ,金額的(5万円)にも本件事故と相当因果関係があるといえる。
(山形地裁米沢支部平成18年11月24日判決)
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